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心理カウンセラーが昔話を語る理由(わけ)2019.05.15

心理カウンセラーとは、悩みや苦しみを抱えて訪れる方の話を聴き、寄り添い支えるのが使命です。
しかし私は、昔語りにも使命感を持っています。
それは、子どもが生まれてから毎日のように繰り返されてきた物語の世界に、ある確信を持ったからです。
子どもが生まれると、どんな親だって勉強のことが気になります。
ところが、子どもが何年もかけて毎日やり続けなければならない勉強とは、誰から見ても正しいとされる客観性の世界です。
個人の主観性とはかけ離れたところにあります。
幼い頃から物事を客観的に捉える訓練をされ続ければ、主観性に価値を感じなくなります。
つまり、一人一人の違いを認めなくなっていくのです。
物語を語っていると、そこに感じるのは主観性です。
物語の主人公の主観性をどこまで伝えられるか?
その人がそう感じた、そう感じるであろうと想像することに、不正解はありません
一方でカウンセリングルームを訪れる方が、自分の気持ちをまるで「自分の物語」のように語り始めると、冷たい氷が解けていくように自分自身を取り戻していきます。
そして、それをきっかけに生き方や考え方が変わっていったりするのです。
客観性の中では、自分の存在に価値を感じられなくなっている人も、主観性を取り戻すと「成長しよう」とする本来の心の機能が動き出すのでしょう。
客観性と主観性をほどよく兼ね備える、揺らぎのような感覚を楽しみながら生きること。
それが私にとって昔話から得た恩恵でした。
本当にありがたいことです。